今日は、ハザードマップの見方・使い方について書いてみたいと思います。
現在も懸命に捜索中の静岡県伊豆山地区の土石流災害のように、今年も自然災害(風水害)の季節がやってきました。最近の降雨は実に短時間に大量の降雨量を記録したり、それらが長く続いたりなど、もはや異常気象ではなく、日常的に観測されているような気もします。
テレビ、ラジオ、インターネットなどで盛んに「日ごろからお住いの地域のハザードマップを確認してください」などと報道されることが多くあります。
ここで少し考えてみましょう。
ハザードマップには何が記載されていますか?
浸水想定区域・土砂災害警戒区域及び特別警戒区域・指定避難所、これらは何となく理解できるでしょう。
それでは、浸水想定区域とは何か、マップに色付けされていると思いますが、これは何でしょう。
河川の堤防が結果したときにどの程度の地域、地区が浸水するか表したものです。重要なのは、この「河川」とは全ての河川を指すものではありません。勉強されていらっしゃる方々はもちろんご承知かと思いますが、これはもっぱら大河川の堤防がある地点で決壊したときのケースを想定したものです。
そうです、大河川以外のその他の中小河川は考慮されていません。そのため、中小河川が氾濫した場合などは、ハザードマップに示された浸水想定区域外の地域も浸水する可能性が大きいということです。
大河川が大雨のため水量が増し、氾濫はしなくても、それに近い程度まで増水した場合、その大河川に注ぐ中小河川は大河川の水位が高く、平常時のように川の水が流れることが難しくなります。そのような時に、中小河川の氾濫や場合によっては堤防の決壊などがおこります。
下の地図は、左側が宮城県丸森町のハザードマップです。右側は令和元年台風19号の時の浸水区域(速報地図)です。
前述のとおり、左側のハザードマップには北側を流れている阿武隈川の堤防の決壊を想定した場合の町内の浸水想定区域が表示されています。ところが、阿武隈川に流れ込んでいる内川などの中小河川については、もともと想定しておりません。そのため、右側の実際の台風時には、阿武隈川の堤防は決壊しませんでしたが、点線で囲んだ地区及び周辺では18箇所で堤防が決壊し、数m程度の浸水となったところもあり、丸森町は大きな浸水被害が発生しました。
ハザードマップの一つの大きな問題点です。
現在、国ではこれらの中小河川についても、ハザードマップの作成を義務付けることにしていますが、これから1万5000くらいのシミュレーションが必要であり、自治体の負担も大きく、そう簡単に解決できる見込みはないと思います。
住民のみなさんは、このような問題点があることも十分理解したうえで、過去の災害履歴などにも注目しながら、避難計画などを考える必要があります。
防災講座の1回目はハザードマップの見方・使い方のうち、中小河川の浸水想定がなされていないことについてご説明いたしました。
次回の防災講座は内水氾濫について書いてみたいと思います。