森と水との鎌田です。
生活環境影響調査に関わりませんが、環境調査や対策の検討などをしていると、騒音対策に直面することが多くあります。生活環境影響調査の場合は、工場事業場の規制基準を環境保全目標値とすることが一般的ですので、敷地境界でこの規制基準を遵守できるように検討する必要があります。
騒音測定の経験や知識がある方でしたら、ご存知かと思いますが、不規則に変動するような音源の場合の評価は、時間率騒音レベル(90%レンジ上端値:L5)で行います。もちろん、高い定常音がずっと発生しているような場合は、その値を採用しますが、搬入車両から重機により廃棄物を運搬したり、破砕機に投入したりするなど、突発的な衝撃音が多くあります。そのため、とても定常音とは言えず、一定の時間内における時間率騒音レベルによって評価することとなります。
では、この時間率騒音レベルとは何か、ご説明します。
たとえば、10分間敷地境界で騒音測定をした場合、サンプリング間隔にもよりますが、1秒間に1個のデータを取得した時、当然、高い音、やや高い音、普通の音、低めの音など、いろいろあると思います。時間率騒音レベルは、これらの取得したデータ1つ1つを高い順から並べ、高い方から5%と低い方から5%を除いた、間の90%レンジ(範囲)の上端値(最も高い音)で評価します。わかりやすく言えば、1秒間に1個の場合、10分間測定した場合には600個のデータを取得したことになりますが、それらを高い順に並べ替え、上から31個目の値が90%レンジの上端値になります。
感覚的には、衝撃的、やや突発的な音、施設に非常に負荷がかかったときの音などが、それに該当します。そのため、施設の騒音のパターンを考えた場合に通常の音(施設から発生する概ね定常的なガーっというような音)を低減することも大切ですが、負荷をかけ過ぎて発生する高い音や連続した落下音などを減らす方が、90%レンジ上端値を下げる意味では大変効果的です。
防音対策は、得てして費用のかかるものが多いですが、規制基準を遵守する目的の場合は、評価値の意味を理解し、費用対効果を踏まえ、効果的な対策から実行することが大切です。費用をかけ、時間をかけて上記のような通常作業時の音を減らすより、高い音をいかに減らすかを重点的に考える必要があります。
ただ、これには例外があります。
対策の目標が住民からの苦情を無くす、というような場合です。この場合は、単に規制基準を遵守することとは異なり、住民が受けている騒音の暴露量を減らす努力が必要です。そのためには、高い音に着目するだけではなく、それに次ぐような騒音についても減らし、全体的に住民が静かになったな、と感じられるような対策を全般的に検討する必要があります。
森と水とでは、これまで多くの廃棄物処理施設を初め、工場事業場などの騒音対策を行ってきました。騒音の問題でお困りのことがございましたら、森と水とまでご連絡下さい。
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